SoundCanvas for iOSが楽しみな私のMIDIやDTM昔話(1)小僧、MIDIと出会う

昨年の11月、DTM小僧ならだれでも喉から手が出るほど欲しかった言わずもがなの名機「Roland SC-88Pro」がiOSにて復刻される!というニュースを耳にして「いよいよ時代がきたぞ!」と大喜びしておりました。

かくいう私も過去にSC-88Proを所有しておりまして、金銭的な理由から手放してしまいました。
今でもあの時どうして手放してしまったのか、余裕があれば買い戻したいなと思うほど思い入れが強く、私の青春が詰まった思い出のモノとして色濃く心に残っておりましたので、この報せに興奮しておりました。

そんな淡い思い出に浸っていたら、色々思い出したので、ついでに記録しておこうと思いました。
※画像はネットから拝借したものでございます。問題当御座いましたら、ご連絡下さいますよう宜しくお願いします。 

音が鳴らない…??

Image in a image block

■FPD95(画面は97のものです。)こいつが自分の要でした! 

音楽作るぞー!とMIDIの打ち込みを始めたのが中学生の頃で、MIDI音源もお金もなかった当時は、FPD95というMIDIデータをPCMにて独自GM音源で再生するという今で言うサウンドフォントのようなものを使って音源を再現しておりました。

当時所有していたパソコンはビジネス用として父親が購入したパソコンでPentiumが発表される前のDX4というCPUが搭載されたNEX PC-9821 Xe10というものでした。
同時期にPC-98シリーズで人気を博した”Canbe"モデルよりCPUは速かったものの、マルチメディアに力を入れていた”Canbe”は、テレビ録画やFM音源を搭載しており、自分にとってはFM音源が載っていた方が都合がよかったわけですが、無いモデルで音楽制作をするというなんとも無謀な所からスタートしました。

“Canbe”より性能は若干高かったとはいえ、Xe10は44kHz/16bitのWAVファイルを再生するだけで音飛びをするくらい非力なマシンで、当時WinGrooveというGM/GS音源をソフトウェアで再現するツールというのが人気を博しており、なんとそのツールはドライバとして常駐する事ができて擬似的にGM/GS音源を所有しているようにしてくれる画期的なものでした。

しかしそのツールを購入するお金を捻出するのも難しい中坊だった私は、FPD95というWinGrooveと同じようにGM音源のソフトウェア音源として機能するもので、有料版ではドライバー機能が使えますが、ソフトでMIDIデータを読み込んで再生を押すと頭から再生される機能は無料で提供されておりました。ですので私は、友人から譲ってもらったMidiSoft Sessionというシーケンサーのスコアビューに曲を打ち込み、本来ならば再生ボタンで音が鳴る所を音源が無く、何も音が鳴らないので、MIDIデータをいちいち保存してはFPD95で再生するといった涙ぐましい努力によって作曲をしていた時代がありました。

音源が欲しい…。

Image in a image block

■Midisoft Session 本来は右のプレイボタンが押せばMIDI Mapperと接続され、音源ボードが積んであるPCだったらFM音源にて再生された。

その抑圧された状態で、なんとかWinGrooveを買うもPCの処理が追いつかないので「絶対にMIDI音源買ってやるぞー!」と決意しました。
当時インターネットもまだ流行る前のNIFTY-Serve全盛の時代。例のごとくNIFTY-Serveに払うお金もありませんでしたので、地元の同時接続数3回線程度の草の根BBSで友人同士でネット体験をして、メールしたり画像を送りあったりしておりました。

その草の根BBSのMIDIデータ交流フォーラム(その響きが懐かしい)に入り浸るようになって、データを公開して聴いてもらったり、そこに上がっているレベルの高いMIDIデータを聴いたりしておりました。その中知り合った方が当時最新だったSC-88Proを購入され、今まで使っていたRoland CM-300を格安で譲ってもらう事となりました。

使用するにはMIDIインターフェースが必要と言われ、「なにそれ!?」とその頃何も知らなかった僕はそこでMIDIインターフェイスというものを知りました。MIDIインターフェイスを手に入れなければと思った私は当時パソコン同好会というそれらしい部に所属していた私と部員がインテックス大阪にパソコン見本市みたいな所へ最新のパソコンを触りに行くという課外活動へ出かけた時、ついでに薄い青と灰色の電脳街だった日本橋に学校の先生に連れて行って頂きました。

当時恵美須町の方にあったMIDILANDというSofmapのDTM関係の機材の新品中古の機材しかない店舗に行きました。
MIDILANDはそれこそ夢の世界で、見たことのないDTM機材が展示されていて、一番思い出に残っているのは、パソコンにSC-55mkIIが接続されていて、FINAL FANTASYのメドレーが流れており、画面にはFFのキャラが曲についてこのボスは強かったねとかゴルベーザのHPは2943だったよねーとか語られているというものがありました。(後々調べでアテナ君氏作成のFFメドレーだと思われます)

MIDIデータとWRDファイルにタイミングと表示したい文字データをWRD形式として保存して、対応ソフトで読み込むと同時に再生されるといった機構だったと思いますが、そこでMIDIってこういうこともできるんだ!ととても感動した覚えがあります。

その話はさておき、特価ワゴンの中に入っていたMIDIインターフェイス7000円くらいのものを購入。早速家のXe10に差し込んで試してみると、あれこれなんだか音がなるぞ…ってよく見てみたらGS音源内蔵と書かれており、うわコレ音源じゃん!って感動したのを思い出しました。そいつはSC-55mkII相当の音がなる音源ボードでしたが、草の根BBSで知り合った方から結局SC-55相当のRoland CM-300も約束でしたので購入しました。

私はついに、晴れてDTM小僧として胸を晴れるようになった中学2年生の冬でした。

Image in a image block

■ボリュームつまみと電源スイッチとシンプルな見た目でしたが、中身は人気絶頂だったSC-55とほぼ同じ。

ハチプロが欲しい…しかし…。

その頃、どんな音楽やっていたかというと、ブラスバンド部でトロンボーンを吹いていまして金管楽器バンマスだった人だけに配られる大譜表とよばれる、全部のパートの音が乗っている楽譜を使って、MIDIで打ち込んでみたり、それで得た知識をつかって、曲作りをしてみたりしていました。
無謀にも草の根BBSでリアル友達とMIDIデータのやりとりを行って8小節ずつ曲を作っては相手に渡し、相手が8小節作ったものが帰ってきて、それを聴いてはまた返してのような、なかなか高度な(当時はわけわかってなかったような)やりとりで曲を作っておりました。

高校にあがった私は、ブラスバンドをやめて軽音楽へ流れて行きました。姉がベースを買ったが挫折して部屋に置きっぱなしにしておりましたので、自分が使って、友達とバンドをやり始めました。

ドラムが居なかったのですが、MIDIの打ち込みでドラマーいらないやん!ってことで、打ち込んだ音をMDに録音したものをスタジオで流して練習を行っていました。
その頃に、音源これじゃ非力だなと感じるようになり、お年玉を握りしめ、SC-88Pro安かったら買ってやるぞ!という気持ちでふたたび日本橋に。

お正月の三ヶ日で運悪くMIDILANDが閉まっており、隣のお店で同じようにMIDI関係の商品を扱って居たため中に入って店員さんに音源が欲しいと接客を受けると、88Proより半額位で結構いい音の音源があるよ!そしてRoland規格のGS音源、Yamaha規格のXG音源、どちらも再生できるよ!って紹介されて、これはいいかも!と思って会って帰ったのがKORG NS5RというハーフラックサイズのDTM音源モードを持つシンセサイザーの頭脳部分でした。

Image in a image block

■KORGのDTM用にも使えたNS5R。GS音源を再生したら画面が橙に、XG音源を再生すると画面が黄緑に私はほとんど橙にしておりました。

やっぱりハチプロが欲しいんだよ!!

やはり、思ってたものとは違い、インサーションエフェクトも無い、やっちまったがもう遅い。とりあえずお金が溜まるまではNS5Rでデータを使って作りまくってました。

シーケンスソフトも品を買え、SingerSongWriterを使用してギターのチョーキングやハンマリングなどが簡単に打ち込めることから、結構重宝していた思い出があります。

その頃は版権物のGLAYなどのMIDIを打ち込みするのがもっぱらでした。新曲がラジオで先行オンエアされたら次の日にはその曲にMIDIデータを自分のサイトにアップロードするといった、まだJASRACがMIDIデータサイトを絶滅される通称「蝕」いや「MIDI狩り」が行われる前のいい雰囲気の時代でした。

インターネットにはゲームミュージックからポップスやオーケストラの楽曲までさまざまなモノがMIDIデータで配布されておりました。
聞かせ方やアレンジなど作成した人のセンスが問われて、ベタベタに打ち込んでいる人もいれば、音の定位やリバーブの値まで本当に微調整に微調整を重ねて表現しているモノもありまして、MIDIデータ1つに100KBを超える強者まで現れ、まさにMIDI戦国時代でした。

そんな中やはり世の中の主流はSC-88Proで、特にギターモノは BOSSのエフェクターが入っているSC-88Proが絶対的に優位で本物さながらの音を再現できたのです。

私は「NS5Rはデファクトスタンダード機じゃない!他の方が作った素晴らしいデータがうまく再現されない!」と他人様が作ったデータを聴くのも好きだった私はSC-88用のデータ等を聞きたかったのですが、マップがおかしかったり、そもそも音色が違ったりで大した感動が得られなくご立腹でした。

そしてその翌年、お小遣いをためたものを持って再度MIDILANDへ。もう確か名称はCreatorsLandになっていたかもしれませんが、そちらで平置きにされていたSC-88Proを足掛け3年、とうとう買って帰りました。

Image in a image block

やはり最高峰は違う!1000音色を超えるパートに20を超えるキット、最大パート24パート最大発色音数64音の泣く子も黙るハイスペック。インサーションエフェクトを使用して、ギターの音色にディストーションなどの音を足すことで本物さながらのギターサウンドを得られました。私もその頃初めてSC-88Pro用のデータを作り始めるのですが…。

そして、この88Proを使ってこれから勃興していくオーディオデータとの出会い編へと行きますが、本日はこのへんで。